乳酸菌とは

乳酸菌は、文字どおり乳酸を多量に作る菌を意味しますが、細菌分類学上は下表に示すものを含め数多くの菌種があり、それぞれの特性を活かして、はっ酵乳、乳酸菌飲料、チーズなどの乳製品をはじめ、味噌、しょうゆ、漬物等の製造に利用されています。したがって、乳酸菌という言葉には「安全」、「健康」、「爽やか」といったイメージがあり、乳酸菌は私たちにとって最も身近で有用な微生物といえます。

乳製品の製造に用いられるおもな乳酸菌・ビフィズス菌

菌属 菌種 主な用途
ラクトバチルス
(乳酸桿菌)
ラクトバチルス デルブリュッキー
  亜種 ブルガリクス
ラクトバチルス アシドフィルス
ラクトバチルス カゼイ
ラクトバチルス ギャセリ
ラクトバチルス プランタルム
ラクトバチルス ブレビス
はっ酵乳、乳酸菌飲料
ラクトバチルス ヘルベティクス チーズ、はっ酵乳、乳酸菌飲料
乳酸球菌 ラクトコックス ラクチス 亜種 ラクティス
ラクトコックス ラクチス 亜種 クレモリス
発酵バター、チーズ、はっ酵乳
乳酸菌飲料
ストレプトコックス サーモフィルス はっ酵乳、乳酸菌飲料
ロイコノストック ロイコノストック メセンテロイデス
  亜種 クレモリス
発酵バター、チーズ、はっ酵乳
乳酸球菌 エンテロコックス フェシウム チーズ、はっ酵乳
ビフィズス菌 ビフィドバクテリウム ビフィダム
ビフィドバクテリウム ロンガム
ビフィドバクテリウム ブレーベ
ビフィドバクテリウム インファンティス
ビフィドバクテリウム アドレッセンティス
はっ酵乳、乳酸菌飲料


代表的な乳酸菌
代表的な乳酸菌



ビフィズス菌も乳酸菌の仲間です

1899年、フランスパスツール研究所のティシエは、乳酸菌の中に母乳栄養児の糞便中にYやVの字のように枝分かれしている細菌がたくさんいることを発見しました。彼はこの菌をラテン語で「枝分かれ」を意味するビフィッド(bifid)から、ビフィズス菌と名づけました。このビフィズス菌も乳酸菌の一種です。乳酸菌の仲間は以下に分けられます。

ラクトバチルス属(Lactobacillus)
 乳酸菌の代表格でヒトや動物の消化管にも多く生息している。
ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)
 俗にビフィズス菌(Y字型、V字型)とも呼ばれており、乳酸と酢酸を産生する。
ラクトコッカス属(Lactococcus)
 牛乳や乳製品に多く見られ、これらを原料とした発酵乳製品に用いられる。
ペディオコッカス属(Pediococcus)
 ピクルスやキムチなどの植物性の発酵食品に多く使われている。
リューコノストック属(Leuconostoc)
 ザワークラウトなどの発酵植物製品から分離されます。
ヒトの口腔内にもラクトバチルス属が多く生息しています。


ビフィズス菌と乳酸菌(球菌・桿菌/かんきん)の違い


細菌の酸素要求性

人や動物は、酸素がないと生きていけませんが、細菌の中には、逆に酸素があると生育できない菌もいます。酸素の存在の有無は、細菌の生育に大きな影響を与えます。細菌を酸素要求性で分けると右のようになります。

酸素要求による分類

●ビフィズス菌は、酸素や酸に弱いため生きたままのビフィズス菌入りのヨーグルトを作ったり輸送することは大変難しく、食卓に並ぶまでビフィズス菌を生かしておくためには、製法や容器などにさまざまな工夫が必要になります。



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