21世紀は、病気にかかってから治すのではなく、病気にならないように予防すること(予防医学)が重要視される時代です。最近では、乳酸菌の健康を保つ効果が「プロバイオティクス効果」として注目されています。
プロバイオティクスとは、腸内フローラを改善して、健康に有益な働きをする、安全性も保証された微生物で、乳酸菌やビフィズス菌が代表的なプロバイオティクスです。しかし乳酸菌ならば何でもよいというわけではなく、次のような条件を満たした乳酸菌が真にプロバイオティクスといえます。
はっ酵乳や乳酸菌飲料は、私たちが最も手軽にプロバイオティクスを摂取できる食品です。
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プロバイオティクスの条件
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宿主(人体)に存在する常在菌叢の一員であること |
(2) |
胃酸、胆汁酸などで死滅せず腸かで届くこと |
(3) |
下部消化管(小腸下部、大腸内)で増殖しうること |
(4) |
宿主(人体)にとって有効効果を発揮すること |
(5) |
食品形態でも生菌として維持可能なこと |
(6) |
副作用がなく安全性が十分確認されていること |
(7) |
摂取、飲用方法が容易であること |
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■ 細菌の侵入を防ぐバリア |
口から入った細菌が小腸に到達するには、胃液と胆汁という2つのバリアをくぐり抜けなければなりません。(「人の消化器官の構造と働き」参照)
胃液 |
…胃液の主成分である塩酸は強い殺菌力を持っており、多くの細菌はここで死滅します。 |
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胆汁 |
…肝臓で作られ十二指腸内に分泌されます。脂肪の消化を助けると同時に強い殺菌力を持っています。 |
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はっ酵乳や乳酸菌飲料(生菌)に含まれる乳酸菌(乳酸桿菌、ビフィズス菌)が、生きたまま腸に到達し、多量の有機酸(乳酸、酢酸)を作ります。この有機酸によって有害菌の増殖が抑えられ、腸内腐敗の防止、腸内菌叢の正常化につながります。また、この有機酸は、腸管の運動を活発にするので、栄養素の消化・吸収が向上します。さらに、乳酸菌の中には、腸内で作られた有害物質を吸着したり、また、免疫機能を高めるなどの働きがあることが最近の研究で明らかにされています。
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プロバイオティクスの健康効果
(コラム) 細菌の大きさ |
細菌は、1ミクロン程度の微生物です。1ミクロンは、1000分の1ミリメートルですから、細菌の姿を見るには、顕微鏡が必要です。細かいことを表現するのに、「針の先」のたとえがあります。そこで、針の先端に桿菌をつけて、電子顕微鏡で観察しました。3000倍に拡大して初めて個々の桿菌の姿が観察できます。このように、細菌は、針の先端に数百個も楽に乗れるほど小さい微生物です。
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