プロバイオティクスとその歴史
糖類を発酵して乳酸を作る菌類を総称して乳酸菌と言います。乳酸菌と人類の結びつきはかなり古く、数千年の歴史を逆上ります。この頃、すでにブルガリア地方では、ヨーグルトが作られていました。
こうした技術が後に発達し、チーズなども開発される様になります。この間は、主に遊牧民族の保存食品、栄養品として利用されて来た様です。
乳酸菌が人間の生命そのものと大きく関わっている事が発見されたのは、今から百年ほど昔の事です。それまでは、腸内は大腸菌などがほとんどだと考えられており、腸内細菌の研究などは超マイナーなものとされていました。
しかし、メチニコフというロシア人の生物学者は腸内細菌と免疫の関係に着目、フランスのパスツール研究所で免疫学の研究を続けて、ノーベル賞を授賞しました。メチニコフはこの研究を更に発展させ、人間の老化や様々な病気の原因は腸内で発生する毒素による慢性中毒によるものではないかと考えました。
そして世界でも長寿で有名なブルガリア地方で、長寿の老人たちがみなヨーグルトを食べている事から、ヨーグルトに含まれている乳酸菌が腸内の有害細菌を追い出して、老化を予防しているのではないかと考えたのです。
メチニコフ自身もヨーグルトを食べ続けましたが、皮肉にもその後メチニコフは動脈硬化を伴った尿毒症で死んでしまったのでした。
やがて乳酸菌の研究が進むにつれ、乳酸菌を飲んでも腸内では増殖しない、つまり腸内に住み着かないという事が判明し、現代までこの研究は下火になっていましたが、現在では、「プロバイオティクス乳酸菌」という菌が培養され、腸内の悪玉菌(腐敗菌)を駆逐する新しい乳酸菌となっています。
乳酸菌飲料の定義
厚生省令によると、乳酸菌飲料とは乳など(牛乳だけとは限らず、多くは脱脂乳を使う場合が多い)を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、または、それを主要原料とした飲料となっています。
また、上記の飲料のうち、無脂乳固形分が3%以上の物と、3%未満のものとがあり、3%以上のものには、乳酸菌数または酵母数が1mL当り、1000万以上、大腸菌群陰性が条件となり、これに該当する商品としては「ヤクルト」などがあります。
また、3%未満のものは、乳酸菌数又は酵母数が1mL当り、100万以上、大腸菌群陰性が条件で、商品としては「カルピス」などがあります。
ちなみに、無脂乳固形分が8%以上の物を発酵乳と呼び、このうち乳酸菌で発酵させた物におなじみのヨーグルトがあげられます。
乳酸菌の効用
乳酸菌が健康の維持・増進に役立つものとして注目されるようになったのは、ブルガリア地方の長寿村を調査した結果、前記しました、ロシアの生物学者「メチニコフ」が、その原因はブルガリア・ヨーグルトにあると発表したことによります。
これを契機として、乳酸菌の研究が進み、腸内における乳酸菌の働きが重要視されるようになりました。とくに、腸内の有用菌を助ける働きが注目されます。人間は、出産したばかりの赤ちゃんのときは無菌状態ですが、徐々に雑菌も侵入し、これらとのバランスを保つ事が健康維持・増進につながります。
善玉菌と悪玉菌
腸内の細菌類には、優勢菌群(いわゆる善玉菌で、ビフィズス菌などがある)と劣勢菌群(悪玉菌)のニ種があり病気になったり、年をとったり、体力が衰えたりすると、このバランスが崩れ、劣勢菌群が増えすぎることになり、腸内で腐敗が発生し有毒物質がつくり出され、これが長く続くと肝臓や心臓、腎臓に負担がかかり、老化を早めることになります。
つまり、腸内細菌の優勢菌群の占める割合が健康と老化のバロメーターとなるわけです。