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大腸の主要な機能は食物繊維の発酵と水分の吸収。 |
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大腸の入り口にたどりつく頃、食物は栄養分をすっかりはぎ取られ、液状になっています。大腸の仕事は最後に残った電解質と水分を吸収して本当のカス、便をつくることです。栄養分の吸収はほとんど行われません。
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約1.5mある大腸は、盲腸、上行結腸、S字結腸、直腸に区別され、肛門に続いています。
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上行結腸では液状だったカスも少しずつ水分を吸い取られ、横行結腸では半粥状になり、下行結腸ではほとんど固形になります。
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S字結腸で一度止まって量がたまるが、胃に食物が入った刺激を受けると直腸に下りていき、大脳が反応して便意が起こります。
肛門には内側と外側に括約筋がついています。つまり、出口が二重になっていて、内側は便の存在を感知すると自然に緩みます。
外側の括約筋は意思の力で緩めない限り、排便は行われません。
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寝ているときには大脳から「閉じろ」の命令が出ています。また、肛門から粘液が分泌されて排便を助けています。
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1.5mしかない大腸に、消化物は少なくとも10時間以上滞在しています。これまでの消化器官の中で最も長居するわけです。
そのためか大腸にはよくトラブルが発生します。
しょくあるトラブルが下痢です。大腸がけいれんしたり、動きが激しくなり、水分がきちんと吸収されないまま運ばれてしまうわけです。
原因はさまざまですが、冷え性、食べ過ぎ、牛乳などによるアレルギー、ストレスがあります。
とくにストレスがある場合は、お腹の調子を乱すことが多く、下痢と便秘を繰り返すことを「過敏性腸症候群」といいます。ほかに胃や腸の疾病(しっぺい)や、肝臓、膵臓が悪くても下痢をすることがあります。
便秘とは、排便の回数が少ないことをいいます。
便秘には大きく分けて3タイプあります。腸の運動が弱まって消化物が送られていかないのを弛緩性便秘(ちかんせいべんぴ)、トイレを我慢していたら直腸での反射機能が衰えてしまった習慣性便秘、ストレスで腸がけいれんを起こし便が止まってしまうけいれん性便秘があります。
便秘は、いわば体内に老廃物をためこんでいる状態です。大腸ガンの引き金とも言われますので、早めに改善したいものです。
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十二指腸は無菌状態なのですが、それに続く空腹からは細菌が存在します。これは私たちがオギャーと生まれたときから腹にいる腸内細菌で、大腸にいたっては約100種類、100兆個ほど住んでいます。
腸内細菌は便の形成を手伝ったり、腸内の環境を守るなど体に良い働きをする善玉菌(ビフィズス菌など)と、便の悪臭をつくり便秘の原因にもなる悪玉菌(大腸菌、ウェルシュ菌など)がいます。善玉菌はこの悪玉菌をやっつける働きもしています。
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善玉のビフィズス菌の栄養源になるオリゴ糖を食べるのも、腸をきれいにする方法です。ごぼうやアスパラガス、タマネギに含まれています。またビフィズス菌入りヨーグルトもいいでしょう。実際は胃でほとんど死んでしまいますが、それでも腸の免疫力を高めるのに役立ちます。
抗生物質の使用や、年齢がすすむと善玉菌の数が減少し、腸の健康が崩れがちになります。自分のなかの菌を育て、元気なお腹を取り戻したいものです。 |
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腸は、「第二の脳」といわれています。
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脳には約150億個の神経細胞がありますが、実は腸にも約1億個の神経細胞があります。
そのうち、約2,000個は腸と脳を神経線維でつないでいますが、残りの神経細胞が「第二の脳」といわれ、腸独自の神経ネットワークをもっています。
つまり、脳や脊髄からの指令を受けることなく、他の消化器官と協調して働き、他の臓器にも直接司令をだすことができるのです。
なので、腸の機能が悪いと「脳」が悪いのと同じで、内臓への指示が円滑に行われず体調を崩すことになります。 |