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健康増進法

公布:平成14年8月2日法律第103号
施行:平成15年5月1日(附則第1条但し書き:未確認)


目次

 第一章 総則(第一条−第六条)
 第二章 基本方針等(第七条−第九条)
 第三章 国民健康・栄養調査等(第十条−第十六条)
 第四章 保健指導等(第十七条−第十九条)
 第五章 特定給食施設等
  第一節 特定給食施設における栄養管理(第二十条−第二十四条)
  第二節 受動喫煙の防止(第二十五条)
 第六章 特別用途表示及び栄養表示基準(第二十六条−第三十三条)
 第七章 雑則(第三十四条・第三十五条)
 第八章 罰則(第三十六条−第三十九条)
 附則

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講じ、もって国民保健の向上を図ることを目的とする。

(国民の責務)
第二条 国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。

(国及び地方公共団体の責務)
第三条 国及び地方公共団体は、教育活動及び広報活動を通じた健康の増進に関する正しい知識の普及、健康の増進に関する情報の収集、整理、分析及び提供並びに研究の推進並びに健康の増進に係る人材の養成及び資質の向上を図るとともに、健康増進事業実施者その他の関係者に対し、必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。

(健康増進事業実施者の責務)
第四条 健康増進事業実施者は、健康教育、健康相談その他国民の健康の増進のために必要な事業(以下「健康増進事業」という。)を積極的に推進するよう努めなければならない。

(関係者の協力)
第五条 国、都道府県、市町村(特別区を含む。以下同じ。)、健康増進事業実施者、医療機関その他の関係者は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るため、相互に連携を図りながら協力するよう努めなければならない。

(定義)
第六条 この法律において「健康増進事業実施者」とは、次に掲げる者をいう。
 一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定により健康増進事業を行う政府、健康保険組合又は健康保険組合連合会
 二 船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)の規定により健康増進事業を行う政府
 三 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定により健康増進事業を行う市町村、国民健康保険組合又は国民健康保険団体連合会
 四 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)の規定により健康増進事業を行う国家公務員共済組合又は国家公務員共済組合連合会
 五 地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)の規定により健康増進事業を行う地方公務員共済組合又は全国市町村職員共済組合連合会
 六 私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)の規定により健康増進事業を行う日本私立学校振興・共済事業団
 七 学校保健法(昭和三十三年法律第五十六号)の規定により健康増進事業を行う者
 八 母子保健法(昭和四十年法律第百四十一号)の規定により健康増進事業を行う市町村
 九 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の規定により健康増進事業を行う事業者
 十 老人保健法(昭和五十七年法律第八十号)の規定により健康増進事業を行う市町村
 十一 その他健康増進事業を行う者であって、政令で定めるもの

第二章 基本方針等

(基本方針)
第七条 厚生労働大臣は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 国民の健康の増進の推進に関する基本的な方向
 二 国民の健康の増進の目標に関する事項
 三 次条第一項の都道府県健康増進計画及び同条第二項の市町村健康増進計画の策定に関する基本的な事項
 四 第十条第一項の国民健康・栄養調査その他の健康の増進に関する調査及び研究に関する基本的な事項
 五 健康増進事業実施者間における連携及び協力に関する基本的な事項
 六 食生活、運動、休養、飲酒、喫煙、歯の健康の保持その他の生活習慣に関する正しい知識の普及に関する事項
 七 その他国民の健康の増進の推進に関する重要事項
3 厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。
4 厚生労働大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(都道府県健康増進計画等)
第八条 都道府県は、基本方針を勘案して、当該都道府県の住民の健康の増進の推進に関する施策についての基本的な計画(以下「都道府県健康増進計画」という。)を定めるものとする。
2 市町村は、基本方針及び都道府県健康増進計画を勘案して、当該市町村の住民の健康の増進の推進に関する施策についての計画(以下「市町村健康増進計画」という。)を定めるよう努めるものとする。
3 都道府県及び市町村は、都道府県健康増進計画又は市町村健康増進計画を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(健康診査の実施等に関する指針)
第九条 厚生労働大臣は、生涯にわたる国民の健康の増進に向けた自主的な努力を促進するため、健康診査の実施及びその結果の通知、健康手帳(自らの健康管理のために必要な事項を記載する手帳をいう。)の交付その他の措置に関し、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(以下「健康診査等指針」という。)を定めるものとする。
2 厚生労働大臣は、健康診査等指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、総務大臣、財務大臣及び文部科学大臣に協議するものとする。
3 厚生労働大臣は、健康診査等指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

第三章 国民健康・栄養調査等

(国民健康・栄養調査の実施)
第十条 厚生労働大臣は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の身体の状況、栄養摂取量及び生活習慣の状況を明らかにするため、国民健康・栄養調査を行うものとする。
2 厚生労働大臣は、独立行政法人国立健康・栄養研究所(以下「研究所」という。)に、国民健康・栄養調査の実施に関する事務のうち集計その他の政令で定める事務の全部又は一部を行わせることができる。
3 都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下同じ。)は、その管轄区域内の国民健康・栄養調査の執行に関する事務を行う。

(調査世帯)
第十一条 国民健康・栄養調査の対象の選定は、厚生労働省令で定めるところにより、毎年、厚生労働大臣が調査地区を定め、その地区内において都道府県知事が調査世帯を指定することによって行う。
2 前項の規定により指定された調査世帯に属する者は、国民健康・栄養調査の実施に協力しなければならない。

(国民健康・栄養調査員)
第十二条 都道府県知事は、その行う国民健康・栄養調査の実施のために必要があるときは、国民健康・栄養調査員を置くことができる。
2 前項に定めるもののほか、国民健康・栄養調査員に関し必要な事項は、厚生労働省令でこれを定める。

(国の負担)
第十三条 国は、国民健康・栄養調査に要する費用を負担する。

(調査票の使用制限)
第十四条 国民健康・栄養調査のために集められた調査票は、第十条第一項に定める調査の目的以外の目的のために使用してはならない。

(省令への委任)
第十五条 第十条から前条までに定めるもののほか、国民健康・栄養調査の方法及び調査項目その他国民健康・栄養調査の実施に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

(生活習慣病の発生の状況の把握)
第十六条 国及び地方公共団体は、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料として、国民の生活習慣とがん、循環器病その他の政令で定める生活習慣病(以下単に「生活習慣病」という。)との相関関係を明らかにするため、生活習慣病の発生の状況の把握に努めなければならない。

第四章 保健指導等

(市町村による生活習慣相談等の実施)
第十七条 市町村は、住民の健康の増進を図るため、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士その他の職員に、栄養の改善その他の生活習慣の改善に関する事項につき住民からの相談に応じさせ、及び必要な栄養指導その他の保健指導を行わせ、並びにこれらに付随する業務を行わせるものとする。

(都道府県による専門的な栄養指導その他の保健指導の実施)
第十八条 都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、次に掲げる業務を行うものとする。
 一 住民の健康の増進を図るために必要な栄養指導その他の保健指導のうち、特に専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
 二 特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設に対し、栄養管理の実施について必要な指導及び助言を行うこと。
 三 前二号の業務に付随する業務を行うこと。
2 都道府県は、前条の規定により市町村が行う業務の実施に関し、市町村相互間の連絡調整を行い、及び市町村の求めに応じ、その設置する保健所による技術的事項についての協力その他当該市町村に対する必要な援助を行うものとする。

(栄養指導員)
第十九条 都道府県知事は、前条第一項に規定する業務(同項第一号及び第三号に掲げる業務については、栄養指導に係るものに限る。)を行う者として、医師又は管理栄養士の資格を有する都道府県、保健所を設置する市又は特別区の職員のうちから、栄養指導員を命ずるものとする。

第五章 特定給食施設等

第一節 特定給食施設における栄養管理

(特定給食施設の届出)
第二十条 特定給食施設(特定かつ多数の者に対して継続的に食事を供給する施設のうち栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置した者は、その事業の開始の日から一月以内に、その施設の所在地の都道府県知事に、厚生労働省令で定める事項を届け出なければならない。
2 前項の規定による届出をした者は、同項の厚生労働省令で定める事項に変更を生じたときは、変更の日から一月以内に、その旨を当該都道府県知事に届け出なければならない。その事業を休止し、又は廃止したときも、同様とする。

(特定給食施設における栄養管理)
第二十一条 特定給食施設であって特別の栄養管理が必要なものとして厚生労働省令で定めるところにより都道府県知事が指定するものの設置者は、当該特定給食施設に管理栄養士を置かなければならない。
2 前項に規定する特定給食施設以外の特定給食施設の設置者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定給食施設に栄養士又は管理栄養士を置くように努めなければならない。
3 特定給食施設の設置者は、前二項に定めるもののほか、厚生労働省令で定める基準に従って、適切な栄養管理を行わなければならない。

(指導及び助言)
第二十二条 都道府県知事は、特定給食施設の設置者に対し、前条第一項又は第三項の規定による栄養管理の実施を確保するため必要があると認めるときは、当該栄養管理の実施に関し必要な指導及び助言をすることができる。

(勧告及び命令)
第二十三条 都道府県知事は、第二十一条第一項の規定に違反して管理栄養士を置かず、若しくは同条第三項の規定に違反して適切な栄養管理を行わず、又は正当な理由がなくて前条の栄養管理をしない特定給食施設の設置者があるときは、当該特定給食施設の設置者に対し、管理栄養士を置き、又は適切な栄養管理を行うよう勧告をすることができる。
2 都道府県知事は、前項に規定する勧告を受けた特定給食施設の設置者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該特定給食施設の設置者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

(立入検査等)
第二十四条 都道府県知事は、第二十一条第一項又は第三項の規定による栄養管理の実施を確保するため必要があると認めるときは、特定給食施設の設置者若しくは管理者に対し、その業務に関し報告をさせ、又は栄養指導員に、当該施設に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は質問をする栄養指導員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

第二節 受動喫煙の防止

第二十五条 学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店その他の多数の者が利用する施設を管理する者は、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。)を防止するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

第六章 特別用途表示及び栄養表示基準

(特別用途表示の許可)
第二十六条 販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用その他厚生労働省令で定める特別の用途に適する旨の表示(以下「特別用途表示」という。)をしようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2 前項の許可を受けようとする者は、製品見本を添え、商品名、原材料の配合割合及び当該製品の製造方法、成分分析表、許可を受けようとする特別用途表示の内容その他厚生労働省令で定める事項を記載した申請書を、その営業所の所在地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に提出しなければならない。
3 厚生労働大臣は、研究所に、第一項の許可を行うについて必要な試験を行わせるものとする。
4 第一項の許可を申請する者は、実費(前項の試験に係る実費を除く。)を勘案して政令で定める額の手数料を国に、前項の試験に係る実費を勘案して政令で定める額の手数料を研究所に納めなければならない。
5 第一項の許可を受けて特別用途表示をする者は、当該許可に係る食品(以下「特別用途食品」という。)につき、厚生労働省令で定める事項を厚生労働省令で定めるところにより表示しなければならない。

(特別用途食品の検査及び収去)
第二十七条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、当該職員に特別用途食品の製造施設、貯蔵施設又は販売施設に立ち入らせ、販売の用に供する当該特別用途食品を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において当該特別用途食品を収去させることができる。
2 前項の規定により立入検査又は収去をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
3 第一項に規定する当該職員の権限は、食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)第十九条第一項に規定する食品衛生監視員が行うものとする。
4 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
5 厚生労働大臣は、研究所に、第一項の規定により収去された食品の試験を行わせるものとする。

(特別用途表示の許可の取消し)
第二十八条 厚生労働大臣は、第二十六条第一項の許可を受けて特別用途表示をする者が同条第五項の規定に違反し、又は虚偽の表示をしたときは、当該許可を取り消すことができる。

(特別用途表示の承認)
第二十九条 本邦において販売に供する食品につき、外国において特別用途表示をしようとする者は、厚生労働大臣の承認を受けることができる。
2 第二十六条第二項から第五項までの規定は前項の承認について、第二十七条の規定は同項の承認に係る食品について、前条の規定は同項の承認を受けて特別用途表示をする者について準用する。この場合において、第二十六条第二項中「その営業所の所在地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣」とあるのは「厚生労働大臣」と、第二十七条第一項中「製造施設、貯蔵施設」とあるのは「貯蔵施設」と、前条中「同条第五項」とあるのは「次条第二項において準用する第二十六条第五項」と読み替えるものとする。

(特別用途表示がされた食品の輸入の許可)
第三十条 本邦において販売に供する食品であって、第二十六条第一項の規定による許可又は前条第一項の規定による承認を受けずに特別用途表示がされたものを輸入しようとする者については、その者を第二十六条第一項に規定する特別用途表示をしようとする者とみなして、同条及び第三十七条第二号の規定を適用する。

(栄養表示基準)
第三十一条 販売に供する食品(特別用途食品を除く。)につき、栄養表示(栄養成分(厚生労働省令で定めるものに限る。以下この条において同じ。)又は熱量に関する表示をいう。以下同じ。)をしようとする者及び本邦において販売に供する食品であって栄養表示がされたもの(第二十九条第一項の承認を受けた食品を除く。以下この条において「栄養表示食品」という。)を輸入する者は、厚生労働大臣の定める栄養表示基準(以下単に「栄養表示基準」という。)に従い、必要な表示をしなければならない。ただし、販売に供する食品(特別用途食品を除く。)の容器包装及びこれに添付する文書以外の物に栄養表示をする場合その他政令で定める場合は、この限りでない。
2 栄養表示基準においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 食品の栄養成分の量及び熱量に関し表示すべき事項並びにその表示の方法
 二 栄養成分のうち、国民の栄養摂取の状況からみてその欠乏が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして厚生労働省令で定めるものにつき、その補給ができる旨を表示するに際し遵守すべき事項又はその旨が表示された栄養表示食品で輸入されたものを販売するに際し遵守すべき事項
 三 栄養成分のうち、国民の栄養摂取の状況からみてその過剰な摂取が国民の健康の保持増進に影響を与えているものとして厚生労働省令で定めるもの又は熱量につき、その適切な摂取ができる旨を表示するに際し遵守すべき事項又はその旨が表示された栄養表示食品で輸入されたものを販売するに際し遵守すべき事項
3 厚生労働大臣は、栄養表示基準を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

(勧告等)
第三十二条 厚生労働大臣は、栄養表示基準に従った表示をしない者があるときは、その者に対し、栄養表示基準に従い必要な表示をすべき旨の勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する勧告を受けた者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
3 第二十七条の規定は、販売に供する食品であって栄養表示がされたもの(特別用途食品及び第二十九条第一項の承認を受けた食品を除く。)について準用する。

(再審査請求)
第三十三条 第二十七条第一項(第二十九条第二項及び前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により保健所を設置する市又は特別区の長が行う処分についての審査請求の裁決に不服がある者は、厚生労働大臣に対して再審査請求をすることができる。

第七章 雑則

(事務の区分)
第三十四条 第十条第三項、第十一条第一項、第二十六条第二項及び第二十七条第一項(第二十九条第二項及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

(権限の委任)
第三十五条 この法律に規定する厚生労働大臣の権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生局長に委任することができる。
2 前項の規定により地方厚生局長に委任された権限は、厚生労働省令で定めるところにより、地方厚生支局長に委任することができる。

第八章 罰則

第三十六条 国民健康・栄養調査に関する事務に従事した公務員、研究所の職員若しくは国民健康・栄養調査員又はこれらの職にあった者が、その職務の執行に関して知り得た人の秘密を正当な理由がなく漏らしたときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
2 職務上前項の秘密を知り得た他の公務員又は公務員であった者が、正当な理由がなくその秘密を漏らしたときも、同項と同様とする。

第三十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
 一 第二十三条第二項又は第三十二条第二項の規定に基づく命令に違反した者
 二 第二十六条第一項の規定に違反した者

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
 一 第二十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者
 二 第二十七条第一項(第二十九条第二項及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定による検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者

第三十九条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の刑を科する。

   附 則

(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第九条及び附則第八条から第十九条までの規定は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(栄養改善法の廃止)
第二条 栄養改善法(昭和二十七年法律第二百四十八号)は、廃止する。

(経過措置)
第三条 この法律の施行の際現に存する特定給食施設の設置者は、この法律の施行の日(以下「施行日」という。)から三月を経過する日までの間は、第二十条第一項の届出をしないで、引き続きその事業を行うことができる。

第四条 施行日前にした附則第二条の規定による廃止前の栄養改善法の規定による許可、承認その他の処分又は申請その他の手続は、この附則に別段の定めがある場合を除き、この法律の相当の規定によってした許可、承認その他の処分又は申請その他の手続とみなす。

(罰則に関する経過措置)
第五条 施行日前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(政令への委任)
第六条 前三条に規定するもののほか、この法律の施行に伴い必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)
第七条 政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(健康保険法の一部改正)
第八条 健康保険法の一部を次のように改正する。
  第百五十条に次の二項を加える。
 5 厚生労働大臣は、第一項の規定により保険者が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 6 前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(国民健康保険法の一部改正)
第九条 国民健康保険法の一部を次のように改正する。
  第八十二条に次の二項を加える。
 4 厚生労働大臣は、第一項の規定により保険者が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 5 前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(国家公務員共済組合法の一部改正)
第十条 国家公務員共済組合法の一部を次のように改正する。
  第三条第五項中「第九十八条各号」を「第九十八条第一項各号」に改める。
  第九十八条に次の二項を加える。
 2 財務大臣は、前項第一号の規定により組合又は連合会が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 3 前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(印紙税法の一部改正)
第十一条 印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の一部を次のように改正する。
 別表第三の文書名の欄中「第九十八条第三号」を「第九十八条第一項第三号」に、「同条第四号」を「同項第四号」に改める。

(登録免許税法の一部改正)
第十二条 登録免許税法(昭和四十二年法律第三十五号)の一部を次のように改正する。
  別表第三の七の項を次のように改める。

七 国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会 国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号) 一 事務所用建物の所有権の取得登記又は当該建物の敷地の用に供する土地の権利の取得登記
二 国家公務員共済組合法第九十八条第一項(福祉事業)の事業の用に供する建物の所有権の取得登記又は当該事業の用に供する土地の権利の取得登記
第三欄の第一号又は第二号の登記に該当するものであることを証する財務省令で定める書類の添付があるものに限る。



(国と民間企業との間の人事交流に関する法律の一部改正)
第十三条 国と民間企業との間の人事交流に関する法律(平成十一年法律第二百二十四号)の一部を次のように改正する。
  第十四条第三項中「第九十八条各号」を「第九十八条第一項各号」に改める。

(地方公務員等共済組合法の一部改正)
第十四条 地方公務員等共済組合法の一部を次のように改正する。
  第百十二条に次の三項を加える。
 3 主務大臣は、第一項第一号の規定により組合が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 4 前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。
 5 主務大臣は、第三項の指針を定めるときは、あらかじめ、総務大臣に協議しなければならない。

(私立学校教職員共済法の一部改正)
第十五条 私立学校教職員共済法の一部を次のように改正する。
  第二十六条に次の二項を加える。
 3 文部科学大臣は、第一項第一号の規定により事業団が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
 4 前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(学校保健法の一部改正)
第十六条 学校保健法の一部を次のように改正する。
  第十条に次の一項を加える。
 3 前二項の文部科学省令は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(母子保健法の一部改正)
第十七条 母子保健法の一部を次のように改正する。
  第十二条に次の一項を加える。
 2 前項の厚生労働省令は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針(第十六条第四項において単に「健康診査等指針」という。)と調和が保たれたものでなければならない。
  第十六条に次の一項を加える。
 4 前項の厚生労働省令は、健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。
  第二十一条第一項中「第十二条」を「第十二条第一項」に改める。

(労働安全衛生法の一部改正)
第十八条 労働安全衛生法の一部を次のように改正する。
  第七十条の二の次に次の一条を加える。
  (健康診査等指針との調和)
 第七十条の三 第六十六条第一項の厚生労働省令、第六十六条の五第二項の指針、第六十六条の六の厚生労働省令及び前条第一項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(老人保健法の一部改正)
第十九条 老人保健法の一部を次のように改正する。
  第二十四条に次の一項を加える。
 2 前項の実施の基準は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

(地方自治法の一部改正)
第二十条 地方自治法の一部を次のように改正する。
  別表第一栄養改善法(昭和二十七年法律第二百四十八号)の項を削り、同表に次のように加える。

健康増進法(平成十四年法律第百三号) 第十条第三項、第十一条第一項、第二十六条第二項及び第二十七条第一項(第二十九条第二項及び第三十二条第三項において準用する場合を含む。)の規定により都道府県、保健所を設置する市又は特別区が処理することとされている事務



(独立行政法人国立健康・栄養研究所法の一部改正)
第二十一条 独立行政法人国立健康・栄養研究所法(平成十一年法律第百八十号)の一部を次のように改正する。
  第十条第二項第一号中「栄養改善法(昭和二十七年法律第二百四十八号)第二条第三項」を「健康増進法(平成十四年法律第百三号)第十条第二項」に、「国民栄養調査」を「国民健康・栄養調査」に改め、同項第二号中「栄養改善法第十二条第三項(同法第十五条第二項」を「健康増進法第二十六条第三項(同法第二十九条第二項」に、「第十二条第一項」を「第二十六条第一項」に、「第十五条第一項」を「第二十九条第一項」に改め、同項第三号中「栄養改善法第十三条第四項(同法第十五条第二項及び第十七条の二第三項」を「健康増進法第二十七条第五項(同法第二十九条第二項及び第三十二条第三項」に改める。

以上

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