走りだしたのは、65歳のとき、健康づくりのために始めたジョギング。その後、1993年世界ベテランズ陸上競技宮崎大会の100メートル走に挑戦した。同大会へ向けて練習していた長男の充司さんが、出場を誘ったのがきっかけとのこと。
<充司さんの話>
世界記録の達成は毎日の練習を重ね、本人の努力で勝ち取ったもの。練習の途中で足の故障をしたので、足に負担のかかりにくい水中ウオーキングを中心に、練習しました。●第26回全日本マスターズ陸上競技選手権 大阪大会
http://www.nichireku.com/eve/mastersosaka_2005/index.htm
●世界マスターズ陸上競技 ワールドレコード
http://www.world-masters-athletics.org/records_output/rec_list_outdoor_m.php
■原口幸三司さんのプロフィール
2011年2月11日 慢性呼吸不全のため宮崎市本郷北方の自宅で死去、100歳。
明治43(1910)年生まれ。
2000年
世界ベテランズ記念陸上競技大会の男子100m・90〜94歳の部で世界記録(18秒08)を樹立。
2005年 6月19日
宮崎マスターズ陸上競技大会・男子100m・95〜99歳の部で世界新記録(22秒04)を達成。
記録更新で2部門の世界記録保持者に。
2005年 8月28日
自身の持つ世界記(22秒04)を更新、(21秒69)を達成。
号砲とともに勢いよくダッシュした原口さんは腕を大きく交互に振り上げ、ももを高く上げる見事な走りを見せた。
宮崎大学教育文化学部(陸上競技・スポーツ心理学専門)の秦泉寺(じんぜんじ)尚助教授は、
「上肢・下肢とも筋肉の強さとバランスがいい。95歳とはいえ、動きは40〜50歳代のスプリンター」と話す。
原口さんは身長1メートル46、体重38、39キロと小柄で体脂肪率9%の筋肉質。
同助教授は、「普通70代になると大腰筋(だいようきん、大腿骨と背骨を結ぶ筋肉)が弱くなり、骨盤が後傾して猫背になりやすい。
が、原口さんは特に大腰筋と周囲の腸骨筋(ちょうこつきん)を鍛えているので股関節の動きがよく、太ももを引き上げて走る力があります」という。
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